そんざいのしょうめい(自キャラ対話モノ)



「恐竜を見たことがあるかい?」
ないな
「ないだろうな。博物館には骨やら皮やらがあるけれど
生きた恐竜を見た人間は、恐らくいない」

恐らくではなく、確定だろう
「ただ、恐竜がいたという証拠はある訳だ
そのエライ学者や専門家が、今生きている生物の設計図や
科学的根拠やらなんやらで頭脳を使って、こんな生き物がいたと
そんな仕事や活動をしている」

そうだな
「恐竜の姿って、ロマンだよな」
別に
「男の子は好きじゃないか?恐竜」
別段、興味がない
「まぁ、キミはあまり興味がなさそうだよな。ロマンなんかからも程遠い」
なら聞かないでくれ
「別に不機嫌にさせたい訳じゃないぞ。そういう見解だ
……まぁ、これは私の勝手な想像だね。言うなれば、骨から恐竜の姿を想像するように
キミの心を想像してみるのだ」

普段からもう少し、その察しのよさをしてもらいたいものだな
「あー…だから不機嫌にさせたい訳ではないんだ
本筋からもずれてしまった」

恐竜の話を続けるのか?
「私は思うんだが。恐竜はね、誰も見たことがないだろう?
それと同じように…私たちの世界が、もう無いのだから
在ったことを証明するのは難しいと思うのだ」
「例えばSSがある。ログが残っている。動画やネットに無限に散らばる情報
少しの隙間から見られるもの。それで証明できる。かもだ」
「しかし、世界が無いのだ。実体験は不可能だ。戻すことは出来ない
消えてしまった。私たちは、それでも世界があったと証明できるのか?」

神に頼んでみればどうだ
作り物の世界だ。神に手が届くなら、あるいは証明できるだろう
「もし証明できる存在がいるとしたら、きっとそれは造物主なのだろうね
そしてそれ以外の、私たちでは、本当に存在を証明することなど
ないと思うのだよ」

哲学的な話だな
「今も、だ。キミが居るなどという証明は、どこにもないのに
私は空(くう)に向かって話し続けているのさ。滑稽だね
それでも聞いていると、そう信じてね。なんと愚かしい
目に見えないものにすがり続ける。非合理的な行動だ」
 
「キミはすでに立ち去って、私はここに1人きりでキミがいると思って喋っていて。
でも本当のことを確かめる術(すべ)はないんだ」
 
「こんなことは無意味だ」
 
「居ないものに、消えてしまったかもしれないものに
在るかもしれないと信じるだけで、本当の答えは返ってこない
キミも世界も見えない」
 
「滑稽だ」
 
「でも私は、やっぱりキミが聞いていると思っているよ」
 
「何故だろうね。目に見えるものを信じたほうが
目に見えるものを愛したほうが
目に見える世界で生きていくほうが、ずっと楽しいかもしれないのに」
 
「目に見えるものさえ、見えていないのかもしれない」
 
「それでも私は、やっぱりキミがそばにいると思っているよ」
 
「これでとっくに遠くの空の下、なんてことだったとしても」
 
「でも私は」
 
「やっぱり」

「キミが」


「聞いて




いる






「と思っているよ」

「……。」

「ある日恐竜が生き返ったら、どうなるだろうな
ある日世界が戻ったら、どうなるだろう
ある日……キミが、また私の前に現れたのなら」

「とりあえず、……………………………びっくりする、かな」





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